趣意

2012年1月8日

「情報入試研究会」設立趣意書

趣旨

情報社会の今日において、すべての国民が情報および情報技術について一定水準の知識・理解・見識を持つことは、わが国の将来にとって極めて重要である。高等学校において、「情報社会を生きる力」の育成を目標とした普通教科「情報」(2008年度告示指導要領では共通教科「情報」。以下単に「情報」と記す)が、2003年から実施されるようになったことは、上記のことを考えると大きな意義がある。

しかし、単に高等学校において授業が行われているということだけでは、十分な情報教育がなされていることにはならない。その内容が十分なものであり、かつ、授業を受けてきた生徒に十分定着しているかどうかは、きちんと評価される必要がある。

高等学校で教えられている主要教科については、高校卒業程度認定試験、大学入試センター試験、および各大学の入学試験などが、その達成度を計る手段として存在している。しかし、情報については高校卒業程度認定試験にも大学入試センター試験にも含まれておらず、一部の(比較的少数の)大学による入試の出題があるだけである。また、これらの大学入試の出題範囲・内容・水準についても大きなばらつきがあるのが現状である。

高校における情報教育の達成度合いを正しく評価し、また情報教育に対する適切な指針を提供する上で、関係者が共に認める、適正な範囲・内容・水準を持った試験問題・試験方式を構築する体制を整備することは重要であり、かつ緊急の課題であるというのが、我々の認識である。

このため、この問題に関心のある識者および関係者有志が集まり、どのような試験方法、どのような範囲・内容・水準の問題が適切であるかについて意見を交換し、その成果として具体的な入試問題の試作を行い世の中に公開することをめざして、本研究会を設立する。

体制

本研究会は高校の情報教育および大学の情報入試に関心があり、本会の趣旨に賛同する有志(個人・団体)により構成するものとする。

本会の活動内容は入試問題の試作と公開、およびそのために必要な各種検討である。対面および電子的手段により随時情報交換を行うことで、趣旨を実現するための検討活動を進めるものとする。

活動の進め方

本会では、2013年以降当面の間、毎年5月に試作問題を公開し、その問題を使用した模擬試験の実施により問題の評価を行うことを目標とする。そのため、2012年3月以降できるだけ早い段階に、出題方針、出題項目の議論を進め、引き続き作題に入ることをめざす。以後は模擬試験実施結果のフィードバックにより、上記方針・項目の改訂およびそれに基づく作題をおこなって行くものとする。

以上

発起人一同(五十音順)
植原 啓介
角田 博保
筧 捷彦
久野 靖
辰己 丈夫
中野 由章
中山 泰一
村井 純