共通テストで「情報」出題へ 2025年までの期待と課題

教育新聞2021年1月19日付に
「共通テストで「情報」出題へ 2025年までの期待と課題」
が掲載されました。

(参考)

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共通テストで「情報」出題へ 2025年までの期待と課題

初実施された大学入学共通テストだが、4年後の2025年には新たな教科として、新学習指導要領で必履修となった「情報Ⅰ」に対応した科目「情報」が加わろうとしている。大学入試センターが昨年末に「試作問題」を作成するなど、着々と準備が進んでいる。情報の基礎的な能力を大学入試で問うことに、関係者からは歓迎の声が上がる一方、高校現場や大学側には懸念もある。幅広い関係者の声を聞きながら、期待される成果や課題を検証していく。

「情報」の出題に対する期待

この試作問題について、情報関連学会はおおむね好意的に受け止めている。例えば情報処理学会は、昨年12月2日に発表した声明の中で「試作問題は、個別に見れば実際の出題に向け様々な推敲・洗練を要するにしても、セットとして見たとき、カバーする範囲・難易度ともに極めて適切に設定されている」と評価している。 同学会理事の中山泰一電気通信大学教授は「文理を問わず、高校段階で『情報I』の内容は勉強してきてほしい。IT技術者を育てるのではなく、文系や医療系など大学の幅広い学問分野で、情報の科学的な理解が求められる時代になっている」と、「情報I」の重要性を語る。

また、日本教育工学会も試作問題に対する意見書の中で「試作問題の方向性は、共通教科情報科で学ぶ知識・技能・思考・判断・表現の資質・能力が、日常の問題解決や、大学における様々な学問分野における学修、そして現在・未来の社会生活と深く結びついているということを示すことにつながる」と期待を示している。

同学会副会長で中教審委員なども務める堀田龍也東北大学大学院教授は「日本では学習でのデジタル活用が進んでおらず、大学生や社会人の情報リテラシーも低い状態にあった。これからの社会にとって情報は欠かせない。この試作問題を解けるだけの力を持った学生が入ってくれば、大学の初年次教育での情報に関する内容もかなり変わるのではないか」と指摘する。

さらに、国立の東京大学、東京工業大学、京都大学などで構成される「8大学情報系研究科長会議」は、共通テストへの「情報」の追加を支持する要望書を文科省などに提出。「情報」を独立した科目として全員が受験できるようにし、各大学が入試に活用することで、高度な情報人材の育成充実につなげられるとし、将来的には「情報II」を含む科目設定も望ましいと言及している。



「試作問題(検討用イメージ)」の冒頭にある注意書きをよくお読みください。