情報処理学会2020年度役員改選の投票について

情報処理学会が 2020年度役員改選の投票についての告示をしています。


情報入試研究会の活動をすすめてきた
萩谷 昌己さん、中山 泰一さん、西田 知博さん、辰己 丈夫さんの4名が
情報処理学会の2020年度役員に立候補しています。

4名の立候補にあたっての抱負は
次のとおりです。

  • 萩谷 昌己 (副会長に立候補)

    [所属] 東京大学大学院情報理工学系研究科コンピュータ科学専攻 教授

    [略歴] 1982年東京大学理学系研究科修士課程修了. 京都大学理学博士. プログラミング言語, ソフトウェア工学に加えて自然計算の研究に従事. 1995年より東京大学教授. 2010-2013年情報理工学系研究科長. 2011-2017年日本学術会議会員. 本会コンピュータサイエンス領域委員長, 調査研究運営委員長, 理事(2003-2004年度, 2008-2009年度)を歴任. 本会フェロー. 2016年より本会情報処理教育委員長.

    [抱負] 小学校でのプログラミング教育の開始, 高等学校「情報Ⅰ・Ⅱ」の設置, 大学入学共通テストでの「情報」の出題検討などが行われているように, わが国でこの先数年間に実施される情報教育が, この国の将来を決める分水嶺となることは間違いありません. その中で, 情報学の研究と応用を進める本会以外に, 日本の情報教育を責任を持って担うことのできる学会は存在しません. 本会が中心となって日本の情報教育を発展させることが期待されています. 私は, 本会コンピュータサイエンス領域委員長, 調査研究運営委員長, 調査研究担当理事を務めた経験を持ち, さらに二期4年間にわたって, 情報処理教育委員長を務めて参りました. この間, データサイエンス教育委員会の設置, 中高生情報学研究コンテストの創設, 大学入学者選抜改革推進委託事業の実施, 各種提言の起草などを行っています. このような活動をさらに発展させ, 本会が世界の情報学分野をリードする学会となるためには, 情報教育の充実こそが必須であり, 私が副会長としてそれを推進することが必要不可欠であると確信しています.


  • 中山 泰一 (理事Aに立候補)

    [所属] 電気通信大学大学院情報理工学研究科 教授

    [略歴] 1993年東京大学大学院修了. 博士(工学). 同年より電気通信大学において, 計算機システム, 並列分散処理, 情報教育の研究に従事. 本会では, 論文誌ジャーナル編集委員会編集長, 初等中等教育委員会副委員長などを務める. 2014年度学会活動貢献賞, 2016年度山下記念研究賞, 2017年度科学技術分野の文部科学大臣表彰科学技術賞受賞.

    [抱負] 私は, これまで, 本会情報処理教育委員会のメンバーとともに, 情報教育の充実と高度化に向けて活動してきました. たとえば, 全国大会に中高生情報学研究コンテストを創設し, 中高生に本会のジュニア会員となり情報学の探究活動をすすめてもらうことを目指しました. また, 大学入試で情報入試を普及させるための模擬試験を実施するなどの活動に取り組みました. 2020年度から小学校でプログラミング教育が開始され, 2022年度からは高校でもプログラミング, AI, データサイエンスなどを扱う「情報I」や「情報Ⅱ」が設けられます. さらに, 2021年度中に2025年に実施される大学入学共通テストで情報が出題されるかどうかが決まります. つまり, 2020年からの数年間は, 本会がこれまでわが国の情報学分野をリードしてきたその成果を, 広く国民全体に広げていくための重要な期間となります. この成否が, 本会はもとより, わが国の将来をも左右すると言っても過言ではありません. 理事として, 本会の教育・人材育成の活動を推進するとともに, 社会に貢献して行きたいと考えております.


  • 西田 知博 (理事Bに立候補)

    [所属] 大阪学院大学 教授

    [略歴] 大阪大学基礎工学研究科を経て1996年同大情報処理教育センター助手. 2000年大阪学院大学情報学部講師, 准教授を経て, 2018年より現職. 博士(情報科学). コンピュータと教育研究会主査(2014-18年), 論文誌教育とコンピュータ編集委員長, 情報規格調査会SC36専門委員会委員長などを務める. 情報教育, プログラミング教育に関する研究に従事.

    [抱負] コンピュータやネットワークは今やあって当たり前のものになっていますが, それ故, 単なる道具のように捕らえられてしまい, 若い世代の情報分野への関心が外形的な薄いものになっていることが懸念されます. そんな中, 2020年度から小学校でプログラミング教育が必修化されるなど, 技術的な部分により踏み込んだ情報教育が学校において行われるようになります. それを教える教員の研修や教材の開発など, いろいろな課題はありますが, これを機会に, 新しい発想が求められるこの分野で, 子どもたちが情報技術に興味を持ち, 研究を志してもらえるようにするための活動が学会として重要だと考えます. 教育分野の研究会主査や論文誌編集委員長の経験を生かし, このような活動を推進していくことと, ジュニア会員も含めた若手研究者の本会での発表や論文執筆などを支援することを, 研究会のみなさまのご協力を得ながら進めていけたらと考えています.


  • 辰己 丈夫 (理事Eに立候補)

    [所属] 放送大学 教授(教養学部情報コース)/学長補佐(兼務)

    [略歴] 博士(システムズ・マネジメント). 1993年早大情報科学研究教育センター助手. その後, 神戸大, 農工大を経て2014年放送大学准教授. 2016年より現職. コンピュータと教育研究会幹事, 情報処理教育委員会幹事, 教員免許更新講習委員会副委員長, 初等中等教育委員, 一般情報教育委員, 会誌編集委員, 教科書委員を歴任.

    [抱負] 本会が, これまでに情報学の深化・情報処理の普及・情報産業の形成に果たしてきた役割は大きいものです. そして, 本会は, 次代を担う若い人たちが情報学を身に付けていくために, 今後も, さまざまなことに寄与していくべきでしょう. 我が国の状況を見れば, 既に, 初等中等教育での情報科学の重点化が指導要領などで決定されており, さらに, 大学入試における情報学の出題も検討されています. こうした一般向けの学校教育の層が厚いほど, 逸材を見つけるチャンスも増え, 専門家育成のための教育も確固たるものになります. そのためには, 現職教員への情報教育・研修・教員養成などが, ますます重要な役割を果たします. 本会こそが, 情報学領域の普及活動を総合的に担うことが可能な, 我が国唯一の学会であると, 私は感じています. 今後は, 情報教育の役割が重要になる状況で, 本会が安定して社会的使命を果たせるように, 学会活動の認知度を上げる活動, 若手の発掘などを中心に新たな事業の立ち上げを行い, 本会の発展に貢献したいと考えております.